Top > 第21回インターネットによる高校生小論文コンテスト

毎日新聞社主催により、第21回インターネットによる高校生小論文コンテストが開催され、
厳正なる審査の結果、最優秀賞1名、優秀賞2名、佳作賞10名、学校賞1校が選ばれました。当協会も本選の課題を提供するなど、同コンテストに協力致しました。
  ○当協会提出課題「東京一極集中に対するあなたの考えを述べなさい」

最優秀賞

飯塚友希さん 神奈川県立横浜国際高3年

作品

 変化が著しく流動的な国際社会に対応するには、他国の人々とのコミュニケーションが必要不可欠となる。そして、多様性が重視される昨今において、会話力だけにはとどまらない異文化への「寛容さ」も求められる。そのため、小学校において「主体性」を意識した英語教育を行うべきだ。

 私は、語学の勉強が好きで高校は国際科を選択した。入学して驚いたのは、生徒も教師も多様なバックグラウンドを持っていたことである。校内で飛び交う言語やすれ違う人の国籍もさまざまで、そこには「多様性」が存在していると実感した。それと同時に、グローバリゼーションに対応するために必要なのは語学力だけではないことに気が付いた。異文化間の交流では相手は「自分とは違う」という事実を受け入れる姿勢が非常に重要である。

 また、中学校と高校で行われてきた英語教育では、コミュニケーションを可能とするほどの英語力が養えていないのが現状である。ヨーロッパ諸国などでは、英語を母語としないにも関わらず、高度な会話力を身につけた人々が多くいるが、日本の英語教育では書けるが話せないという状態が顕著に現れてしまう。知識を得ることはしても、自らが英語を使って積極的に会話する機会が少ないためだ。生徒が教えを享受するだけの教育形態では、グローバル人材育成の更なる発展は望めない。

 小学生というのは、物事に興味を持てるチャンスも多く、新たなことにも積極的に挑戦でき、多感な時期だといえる。さまざまなことを吸収できる小学校で英語教育が必修化されたのは、日本の英語教育を変革するための契機となり得るはずだ。小学校において、生徒の「主体性」を重視した教育を行えば、英語を通じて多様性とその本質を学び、また自らが英語の話者であるという自覚を持つことができるだろう。小学校という早い時期から英語を学ぶことの意義を再認識し、英語教育の意識を変えていくべきなのである。

受賞コメント

 まさか賞をいただけると思っていなかったので、とてもうれしいです。英語学習が好きで国際高校に入学しました。そのため、本選で「英語教育」に対する意見を論じることができ、うれしく思います。小論文は、自分の意見を深める機会を私に与えてくれます。今後も積極的に学習に取り組みたいです。ありがとうございました。

優秀賞

深澤穂乃花さん 山梨県立甲府第一高3年

作品

 国際社会で活躍する人間になりたい。私にはそんな夢がある。それには当然、英語力は必須である。もし小学校から十分な英語教育を受けていたなら――。そう考えると、後悔と羨望の感情があふれてくる。しかし、私は小学校の英語教育必修化には否定的だ。

 理由の一つとしては、多くのデメリットが想定できるからだ。例えば、言語習得には日々の反復学習が重要になる。内容が十分なものであっても、いわゆる週に何回あるかの授業数。それだけで英語が話せるようになるのかは疑わしい。さらに、強制的な学びは実力の増進には比例しない。この制度は、国際化にあおられた日本の焦りの象徴なのではないだろうか。まして、小学生という幼さで、英語の重要性や将来価値全てを理解できるのは不可能であろう。

 私には中国人の友人がいる。彼女は日本の高校に通い、学校では日本語、自宅では中国語を話しているという。彼女のように日常的に2カ国語を使い、両者の考え方や文化の違いまで理解しているのであれば、今後に役立つ力となるだろう。少なくとも、会話や言語というものは、日常生活に密接するからこそ身につくものなのだ。

 しかし、日本での語学習得の環境は最適なものではない。日本人教師が教える英語で、異文化理解も乏しく、日本的思考に包まれた学習は好ましくないからだ。各授業での質の格差、他科目の学力低下も否めないだろう。

 私見としては、小学校の段階では、外国人の方々を授業に招いて、児童とのコミュニケーションを持たせるのが良いと思う。まずは異文化理解に重点を置き、その上で具体的な会話をする場を設けていく。

 そして何よりも、継続的に英語に親しめる環境、同時に英語を通じて異国文化に興味を持ち、理解を深める人間力を養う教育現場を整える必要があるだろう。

受賞コメント

 賞を頂けたことをうれしく思います。近年急速なグローバル化とともに教育の形も多様化しています。時代の流れにのみ込まれた模倣的教育ではなく、成長に伴った真の教育というものを改めて見つめ直すべきです。私たち高校生がさまざまな問題に目を向け、理解していくことが社会を発展させる第一歩となればと思います。

優秀賞

田野口真衣さん 岡山学芸館高3年

作品

 近年、日本人の英語能力の低さが大きな問題となっている。これからの世の中では、グローバル化がますます進んでいくことは間違いないだろう。そのような国際社会で日本人が活躍するには、高い英語能力が必要不可欠である。そこで私は、小学校での英語教育必修化について賛成である。

 私がこのことに賛成する理由は大きく分けて二つある。一つ目は、英語教育を通してさまざまな文化に触れ、理解するきっかけになるからである。小学生という物事を柔軟に考えることができる時期に英語を学ぶことでさまざまな国の文化に触れる機会も増え、日本以外の多様な文化を理解するきっかけとなるだろう。違う文化や考え方について知り、理解することで他人の意見を尊重する力を身につけることができるのである。二つ目は、小学生という素直にさまざまなことを学び、吸収しようとする時期に英語教育を行うことで、抵抗感を持つことなく始められるからである。実際に私自身も小学1年生から6年生まで英会話教室に通っており、ゲーム感覚で英語を始められたおかげで、英語に対する抵抗感なく学習を進められた経験がある。このように、好奇心旺盛な時期に英語学習を始めることで、これから先の英語学習への意欲・関心の向上へつながり、英語能力も高まると考えられる。

 しかし、基礎的学力を養う時期に英語学習を行うことで、日本語学習がおろそかになってしまうという意見もあるだろう。確かに英語を学ぶことで日本語がおろそかになってしまっては意味がない。だが、日本語は英語と違って日常生活の中で学ぶことが可能である。家庭でしっかりとコミュニケーションを取ることで自然と日本語能力を身につけることができるだろう。

 これらのことから、私は小学校での英語教育必修化について賛成である。英語能力を向上させることこそが、これからの国際社会を生き、活躍するうえで最も重要事項なのである。

受賞コメント

 驚きと同時にうれしい気持ちでいっぱいです。学校の授業の一環でコンテストに応募しましたが、社会で現在起こっている問題や取り組みについて深く考えるきっかけとなり、私自身の成長に大きくつながったのではないかと思います。今後もこのようなことに関心を持ち、自分自身の学びにつなげていきたいと思います。

※詳細につきましては、毎日JPのホームページをご覧をご覧下さい。